デュピクセントの概要

デュピクセントの概要

「デュピクセント」は、2018年に承認された新しいアトピーの治療薬です。既存の内服薬・外用薬では、効果の乏しかったアトピー性皮膚炎の患者さんの新しい選択肢となります。従来の治療は「炎症」による「かゆみ」や皮膚の「バリア機能の低下」が見られた部分を塗り薬や内服薬で抑えているのみでした。しかし、デュピクセントでは「炎症」「かゆみ」「バリア機能の低下」の原因と考えられるサイトカイン(IL-4、IL-13)を直接抑えることが可能になりました。
2023年9月末より、デュピクセントの小児適応が承認され、生後6か月以上の既存治療で効果不十分な中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さんに使用可能となりました。

適用となる方

  • アトピー性皮膚炎の症状が中等症~重症の方
  • ステロイド外用剤、プロトピック軟膏などの抗炎症外用薬を一定期間投与しても、充分な効果が得られなかった方
  • 生後6か月以上の方

導入に注意が必要な方・導入できない方

下記に該当する方はデュピクセントの投与が難しい場合があります。詳しくは診察時にご相談ください。

  • 寄生虫感染のある方
  • 生ワクチン接種の予定がある方
  • 妊婦又は妊娠の可能性がある方
  • 授乳中の方
  • 高齢の方、生後6か月歳未満の方
  • 喘息等のアレルギー疾患をお持ちの方
  • デュピクセントに含まれる成分に対してアレルギー反応を起こしたことのある方

デュピクセント使用に際しては、抗炎症外用薬や保湿外用薬を継続して使用することが大切です(外用薬の使用など、基本的な治療やスキンケア継続が原則となります)。

治療の流れ

初めて導入される方

初めて導入される方は診察から行います。
これまでの治療経過を踏まえて、現在のアトピー性皮膚炎の症状をスコア化し、デュピクセントの治療が適用になるかどうか判断します。また、デュピクセントは高額な治療となるため、医療費助成の制度についてもご説明させていただきます。
そのうえで治療を行うかを決めていただき、治療を行うことが決まったら次の来院時からデュピクセントの投与をスタートします。

他院で導入済みの方

当院では他院でデュピクセントを導入済みの方にも対応しております。自己注射をされている方であれば初診時からデュピクセントの処方が可能です。
導入した医療施設での紹介状や導入時の医師の皮膚症状の評価をお持ちいただくとスムーズに診療を進められます。

治療方法

デュピクセントは「皮下注射」という方法で投与します。
1本の注射の容量は300mgで、初回のみ2本(600mg)を注射します。その後しばらくは2週間に1本注射を継続し、経過を見ます。
※デュピクセントは通常冷蔵庫にて保管しています。45分以上前に適温に戻す必要があるため、投与の際は必ずご予約をお願いいたします。

自己注射について

医師により適用可能と判断された場合は自己注射による投与が可能です。通院にともなう時間や制約や負担が軽減でき、ご自身の生活スタイルを極力変えずに治療を継続することができます。院内で投与する場合2週間に1度の通院が必要ですが、最大3ヶ月分までの処方が可能なので、3ヶ月に1度の受診で済みます。
ただし、自己注射開始前に最低2回の指導を院内で受けていただく必要があり、指導料が別途かかりますのでご了承ください。

治療費の目安

デュピクセントには、「ペン」と「シリンジ」の2種類がありタイプがあり、当院では投与時の利便性や簡便性から、「ペン」型を使用します。

薬価(薬の価格) 初回
(2本)
2回目以降(1本)
123,428円 61,714円
自己負担額
(窓口でお支払いいただく額)
3割 37,028円 18,514円
2割 24,686円 12,343円
1割 12,343円 6,171円

※令和6年4月時点のデュピクセント🄬の薬価をもとに計算しています。

医療費助成について

デュピクセントは保険適用ではあるものの、治療費が高額であるため治療を行うこと自体ためらわれる方もいらっしゃいます。費用については初診時にきちんと説明させていただきますのでご納得いただいた上で治療を受けていただければと思います。
また、治療中は経済的な負担を減らすため、高額療養費制度をはじめ様々な医療費助成の制度があります。詳しくはこちら をご確認ください。